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YKK AP様への視察研修報告
YKK AP様への視察研修報告
2025.12.04
- アプト通信
秋冷の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回のアプト通信を担当します、設計部の岩瀧です。このたび、YKK AP様(黒部製造所・AP30ビル・技術館・パッシブタウン) を視察させていただく大変貴重な機会を賜りました。ご多忙の中、丁寧にご案内いただきました YKK APの皆様に、心より御礼申し上げます。
今回の視察は 日程を分けて2グループで実施され、私は後半チームとして参加いたしました。少人数でのご案内だったこともあり、理解が深まり、大変実りある視察となりました。

※館内は撮影できない場所も多かったため、今回は記念に撮影した集合写真をご紹介します。
■ 個人的背景から感じた、視察への特別な想い
今回のアプト通信を私が担当する理由には、少し個人的な背景があります。
私の兄はYKKのファスニング事業(YKK Italy)に勤務しており、現在はイタリアのミラノ在住。
兄が盆と正月に帰国した際には、毎回仕事の話を語るのですが、その中で、
「どれだけミラノが華やかでも、YKKの価値を支えるのは“美しさ”ではなく、“技術と哲学”だ」
という言葉が強く心に残っていました。その言葉の意味を確かめるような気持ちで臨んだ今回の視察は、当社の事業姿勢や価値提供の本質にもつながる、大きな気づきの連続でした。
■ 企業の根幹にある「善の巡環」と「成果三分配」
視察の冒頭では、創業者・吉田忠雄氏が大切にされた理念、
「善の巡環」— 他人の利益を図らずして自らの繁栄はない
について説明をいただきました。
また、企業活動によって生まれた価値を、
「顧客・取引先・社員」で公正に分かち合う「成果三分配」
という考え方にも触れる機会がありました。
YKK AP様の皆様がこの理念を自然に語り、行動として体現されている姿に触れ、理念が現場を動かし、技術を支えている という普遍的な真理を強く感じました。
アプト・シンコーも、多能工育成や現場改善、協力会社との連携を通じて、「お客様・地域社会・協働する仲間」へ価値を還元する企業でありたいと考えています。
■ 徹底した内製化に支えられた「品質への責任」
視察の中で特に印象的だったのは、YKK AP様の「モノづくりの徹底ぶり」です。
・ビス1本から製造機械まで自社でつくるという徹底した内製化体制
・大きな理念を掲げながらも、現場では一つひとつの小さな作業を確実に積み重ねていく姿勢
この在り方は、当社の副社長・猪爪がよく口にする、
「Think big and do small」
大きなビジョンを持ちながら、目の前の小さな仕事を疎かにしないという考え方と重なります。
こうした姿勢はまさに、
「最終的に品質をつくるのは“人の姿勢”である」
という普遍的な真理を示していると感じました。

■ 未来をつくる建築思想:ZEB・パッシブタウン
視察では、建築とエネルギーの未来を見据えた取り組みも拝見しました。
・ZEB(Zero Energy Building) の実装例
・水素エネルギーを活用した季節間利用
・中高層木造建築による地域循環型モデル
これらは単なる技術展示ではなく、「未来の暮らしをどうデザインするか」という企業姿勢そのものを表していました。地域の未来に関わる企業として、私たちアプト・シンコーも、現場力・技術力・人材育成の強化により、持続可能な建築文化へ貢献していきたいと感じました。
■ アプトとしてお客様へ提供できる価値
今回の学びを通して、当社がお客様へお約束できる価値は次の3点に整理されます。
①多能工による高品質・高効率な現場体制
「任せて安心・任せて早い」現場づくりをさらに進化させます。
②誠実な企業姿勢の実践
善の巡環・成果三分配の精神を基盤に、お客様・協力会社・地域と共に価値を生み出す企業へ。
③未来を見据えた技術と人材育成
ZEB、省エネ、木造化など、これから必要となる技術への対応力を継続して高めます。
■ ミラノと黒部に共通する “理念が技術を支える” という真理
視察を終えて兄に感想を伝えたところ、「黒部もミラノも、目指していることは同じだよ」という一言をもらいました。
黒部とミラノ、距離は9,500km離れていても、企業としての思想や姿勢は確かにつながっている。そのことを改めて感じられた、個人的にも印象深い視察でした。
私たちアプト・シンコーも、理念を軸に技術と人を育て、お客様にとって“頼れる現場パートナー”であり続けたいと考えています。
今後とも、皆さまのお役に立てる企業であり続けるべく、日々精進してまいりますので、これからも引き続きご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
設計部 岩瀧